2020-01-01から1年間の記事一覧

年忘れは特になし

「年忘れ集ひ別れし過去未来」 (池内友次郎) 横浜の関内駅を出て大通り公園を歩く。朝の公園を急ぎ足で歩く人は勤め人。ゆっくりと歩く人はリタイアした高齢者か。 赤茶色に色づく三角錐の大木は何と言う木だろう。少し調べてみたが、分からない。落葉松(…

ヴェルニー公園の薔薇

11月と12月のはじめに、時間つぶしを兼ねJR横須賀駅そばのヴェルニー公園を歩いた。 横須賀駅前は殺風景なものだが港の方に向かうと、公園がありいろいろなバラが咲き目を楽しませ、「とげとげしい」気持ちをなだめてくれる。 軍港らしく、戦艦陸奥の大砲や…

初恋の話し

「いつ渡そバレンタインのチョコレート」 (田畑美穂女) まだ暑さの残る9月の中旬だった。妹は、8月19日に診察を受けに行った病院で即入院となり、ベッドに横たわったままの生活を送っていた。 容態の落ち着いていた妹が、病室の窓から見える小山を指さして…

渡り廊下

「はばかりてすがる十字架や夜半の秋」(芝 不器男) 病院は、2カ月を超えての入院は出来ない。病が治癒していなくても出ざるを得ない。 そこで患者の選択肢としては、他の病院に移るか、リハビリ目的の施設に移るとか、あるいは自宅療養で通院するとなるが…

平凡な日々

「有明の月に身の修羅語りけり」 (中村ヨシ江) 病室から空が見える。眠れぬ夜がまもなく明ける。 平凡な日々が続くということの有り難さ。 衣笠病院の玄関前に咲き始めた黄色い花の名は「ハナセンナ(あるいはカッシア)」。別名アンデスの乙女。花言葉は…

ある日のきのこ飯

「生きて仰ぐ空の高さよ赤蜻蛉」 (夏目漱石) 妹の入院している病院へ向かう途中、赤とんぼが漂うように目の前に飛んで来た。目を上げると、未だ赤く染まっていない腹を見せながら、スッと空の上に去って行った。 また今年も赤とんぼがやって来た。去年と同…

暑さは続くよ

「塗り箸を渡してゆるきわらび餅」 (金久美智子) 京都の老舗、五建外良屋のわらび餅。透き通る黄金色のわらび餅に、濃い目に煎られたきな粉がかかる。 それは、やんわりと冷たい透明感のある食べ物であった。 私の自宅の近所には、小さな川が流れている。…

船橋屋のくず餅

八月に入ったら、すぐに立秋を迎えた。 「秋立つや川瀬にまじる風の音」 (飯田蛇笏) 残暑お見舞い申し上げます。気温は午後3時で32度。 電車が駅に到着し、乗客がどっとホームに降りて来る。改札口では人に揉まれながら駅のコンコースに押し出されると、…

梅雨明ければ夏の雨

「さつきから夕立の端にゐるらしき」 (飯島晴子) 梅雨明けが昼前に発表されたが、午後俄かに空に雲が広がって、大粒の雨が木の葉や、地面を打ちつけた。大急ぎで自転車を漕いで家路に向かう学生さん。雨宿りできる場所はあるかしら。 部屋で、金子由香里の…

関東平野梅雨に隠れてしまひけり

表題は、鈴木真砂女の平成10年の俳句。山本憲吉の本を読むと、梅雨は「豪雨ではなく地雨で、降りみ降らずみの天候がつづき、だいたい六月二十五日から三十日ぐらいまでが頂上である。」と書かれている。 「旅戻り雨傘梅雨を滴らす」 (平成10年鈴木真砂女) …

晴耕雨読

線状降水帯による大雨でまた九州熊本周辺が大変である。 熊本には、妻の妹が住んでいる。それから、私と妻の共通の友人Wさんの実家は熊本だ。気が気でない。どうしているだろう。 Wさんの「おもいで酒」が聞きたい。 さて、私の古い大切な友人である「立川の…

おにぎりを握る

「飯食ひに出づる茫々たる梅雨の中」 (石田波郷) 雨が小降りになったかと思うと、時に激しく降り出して本格的な梅雨の時期を迎えている。 どうも朝っぱらから気持ちが晴れないので、どこかに出かけられるかなと淡い気持ちを抱きつつ「おにぎり」を握った。…

アツアツで、冷え冷えで美味しくて

「学ならずもんじゃ焼いてる梅雨の路地」 (小沢信男) 孫娘のSちゃんを交えて、家でもんじゃ焼きをした。 家族揃えば、妻と私と娘の3人プラスSちゃんで4人になるところ。しかし最近、私の娘は休みというと遊びに出かけてしまい家にいることが少ない。妻と二…

鶯はどこで寝るの

ある日のJR鶴見駅。京浜東北線の停車駅。川崎駅と横浜駅に挟まれた工業地帯の駅。 駅構内に入ると、カメラを持ったおじさんやお兄さんがいつになく多い。何か特別な列車が通るのかなと思いながら、帰りの電車に乗るためホームを急いで歩いた。 するとやがて…

目も胃袋も

遊歩道の脇に咲く赤い花。歩く目に、一直線で飛び込んで来る赤。 こちらは、花菖蒲? 網目模様があるようなので。なんとも艶やかな紫色と白のコントラスト。優しい気持ちになる。 「野あやめの離れては濃く群れて淡し」 (水原秋櫻子) 花の名前が分からない…

レストラン再開

「コレラ出て佃祭も終わりけり」 松本たかし この度のコロナウイルスは相当に危険なもので、多くの人が外出を控えているが、どうしてもうまい梅干しが欲しくなり御殿場線に乗って下曽我駅まで来た。 この御殿場線は、JR東海の所管であることを初めて知った。…

外出を控えて下さい

市役所防災センターから、頻繁に放送が流される。 「コロナウイルス感染予防のため外出を控えて下さい」と。 そう、世の中は感染拡大を防ごうといわゆる不要不急の外出を控えている最中。私の会社も、特に出社する用事がなければ直行直帰で構わないと言って…

ア~ 八重桜の花が散る

「ゆく春のとどまる処遅ざくら」 (黒柳召波) 4月12日の日曜日、近くの川沿いで八重桜が咲き始めた。今年は例年よりも10日くらい開花が遅かった。 白や、薄く赤みを帯びた花や、緑がかった花が咲きこぼれるように初々しく競い合っている。 ようやく君たちの…

ふたたび總持寺へ、祈りの寺

先日現場の仕事が終わって、会社に帰る途中1年前に訪れた總持寺へ足を向けた。ちょうど入学式があったようで、参道で帰宅する新1年生やその家族と行きあった。 桜の季節が過ぎ、山門前の木々の若葉が鮮やかに見える。 「前髪もまだ若草の匂ひかな」 (松尾芭…

桜の樹の下で

4月2日の横浜十日市場。 花の名は知らないけれど、青い空に映え白い花がとてもきれいに見えた。いつまでも見つめていたくなる可憐な花びら。 たくさん花が密集して、空に昇って行くような勢いの木もあった。 そして4月5日の日曜日、新型コロナウイルスの影響…

静かな時間、三溪園そしてワイン

3月29日10時頃、冷たい朝の雨が霙に変わり、次第に雪となって来た。家の中でひっそりと籠っていたい気分になる。 窓を開けると、たちまち凍えるような風が入って来たが、同時に鶯の健気な鳴き声が聞こえてきた。この鶯は1月頃より鳴き始め、近所に居つ…

羽田空港にお出迎え

2月25日、ご近所の庭にある寒緋桜(緋寒桜)が満開だった。染井吉野などに先駆けて咲くので、もう春がそこまで来ているんだなと浮き浮きした気分にさせる。本格的な花の季節が待ち遠しい。 「咲き満ちてこぼるゝ花もなかりけり」 (高浜虚子) 満開の桜を…

小田原そぞろ歩き…私の大事な人

「冬寒し冷えてゐぬかと手を握り」 (沢木欣一) 常盤木門を過ぎ天守閣が聳える広場まで上がって来た。これから小田原城、報徳神社、種秀、籠清本店、御幸(みゆき)の浜とご案内しましょう。少々長くなりますが、暖かい一日が皆様に届きますでしょうか。 2…

伊勢佐木町ブルース

伊勢佐木町ブルースと言えば、1968年に発売された青江三奈の大ヒット曲。おしゃれな詞は川内康範。 「あなた知ってる 港ヨコハマ 街の並木に 潮風吹けば 花散る夜を 惜しむよに 伊勢佐木あたりに 灯(あかり)がともる」 横浜きっての繁華街。かつてこの歌が…

元気の秘訣…女房の弁当

お昼時「今日もセブンの弁当か。」と、コンビニへ向かった。 休日の家族連れとすれ違う。冬の光が当たってまばゆく見える。 帰宅して夕食の時、思わず妻につぶやいた。「昼飯はこのところセブンの弁当が続いているんだ。」 「おいしいんだけどね。近所に食べ…

エキゾチック横浜…アメリカ山公園で風に吹かれる

「寒風を来し目に少し涙ため」(星野立子) 手前に本牧に向かう高速道路があり、その向こうにやや波を立てた海が見える。ここアメリカ山公園からわずかに海が見える。 前々回ご紹介した元町のはずれ。うまそうなパンの香りが甘く漂う、うちきパン(日本初の…

青春っていいな

「またひとり海を見に出る年忘」(黛 執) これはもちろん私ではなく、この4月に中学生になる孫の姿である。今の自分には、冬の海に素足で入って行くなんて到底出来ないのだが、こんな頃が自分にもあったなあと懐かしいのである。 この子は野球をやっていて…

エキゾチック横浜…Hammer to fall

(やたらに仕事が忙しく、年が明け1月が終わるころにやっと、ブログを作成する時間がもてました。時間が戻りますがそのまま続けることにしました。) 昨年の11月下旬、横浜元町ショッピングストリートの裏道を歩いていると、季節外れの朝顔のような花が咲い…