レストラン再開
「コレラ出て佃祭も終わりけり」 松本たかし
この度のコロナウイルスは相当に危険なもので、多くの人が外出を控えているが、どうしてもうまい梅干しが欲しくなり御殿場線に乗って下曽我駅まで来た。
この御殿場線は、JR東海の所管であることを初めて知った。スイカが通用しなかった。
駅前の通りは、車も人もほとんど通らない。
以前のブログでもご紹介した通り、ここに来ると駅前の曽我乃正栄堂で、大福餅を買う。
保存料など一切使用していない大福餅は甘さも程よい。大福をほおばりながら、人けのない通りをプラプラ歩く。およそ300mほどで県道に出るとすぐ、梅干しや青梅を売っている長一商店がある。
今回は、塩分18%のつぶれ梅と塩分15%のシソ梅を買った。
「梅漬けてあかき妻の手夜は愛す」 能村登四郎
まあこれで早くも当初の目的を達したわけだが、昼飯を食べに小田原へ行くことにした。
小田原駅付近は大きな繁華街だが、やはり自粛でほとんどの店がシャッターを下ろしたまま、閑散としている。
駅の近くにおしゃれ横丁という小さな通りがある。一部の飲食店が店を開けていた。
以前から気になっていた「響」というレストランへ行く。先週の木曜日から営業を再開したそうだ。
この春、高校に入ったけれど一度しか登校していない孫娘を連れて、レストランで食事。この子はパティシエになりたいという。
店に入り席につく時、孫のSちゃんは私たちが着席するのを見届けると、スタッフに椅子を寄せてもらいながら座った。
高級なレストランで食事して、いい社会勉強になるのでは?
若い時に一流のものを知っておくのは、よい経験になる。
目の前の鉄板で、コックさんが手際よく海老や大根やコンニャクを焼き、最後はステーキを焼き上げる。
出汁のしみ込んだ大根やコンニャクは、おでんの街小田原にあやかったものか。
肉は梅肉ソースでいただいた。これもご当地ならでは。
Sちゃんは、目の前に並べられた料理を食べていいのか分からない様子だったので、「どうぞ」と手のひらで軽く合図をした。
私より背が高くなった孫娘だが、ゆっくり箸を伸ばし鮮やかに赤くなった海老をつまんだ。
鉄板の向こうの壁には、大きな水彩画が掛かっている。芦ノ湖の船着き場を描いたのではと思いスタッフに尋ねたが、
「海外の風景では?
常連の方が飾ってくれと持ってきたものでよくわからない。」と言う。
「では芦ノ湖の風景ということにしておきましょう。」と提案すると「そうしましょう!」と返してくれ、互いに笑った。
おしゃれ横丁で立ち止まり、足元見つめる紅の豚次郎。元気出そうね。