元気の秘訣…女房の弁当

 お昼時「今日もセブンの弁当か。」と、コンビニへ向かった。

 休日の家族連れとすれ違う。冬の光が当たってまばゆく見える。

 帰宅して夕食の時、思わず妻につぶやいた。「昼飯はこのところセブンの弁当が続いているんだ。」

 「おいしいんだけどね。近所に食べ物屋がないんだよ。」

 「やっぱり手料理はうまいな。」

 するとしばらくして、妻が言う。「今度お弁当持って行く?久しぶりに作ろうか?」

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 メインは、鶏肉のもろみ味噌味。そして紅鮭(べにじゃけ)。鶏肉は照り焼きにし、少し焦がしたもろみ味噌を添えて味に変化をつけている。

 紅鮭は、美味しそうな紅鮭を探し回ってヨーカドーで購入。紅鮭は、近頃美味いものが見当たらないし、高くなった。以前は、新巻鮭などよく見かけたものだが、どこに行ったのか。

 震災前、魚屋の軒先で「女川(おながわ)の荒巻鮭あり」と書かれた札が、風に揺られていた。それ以来。

 銀鮭はいけない。華やかさがない。

 そして、きんぴらごぼうに厚焼玉子焼き。もちろん妻の手作り。歯ごたえと甘さがちょうどよい。

 最後にご飯は、白米に五穀米が混ぜてある。

 ご飯はいきなり弁当箱に詰めるのではなく、一度皿に平べったく敷いて熱を取ってから弁当箱に入れる。すると弁当箱を開き口に入れた時、ご飯の弾力や甘みを大いに感じることができるのである。

 妻の作った弁当箱を開き箸をつけた。

「弁当に日が射す林檎の花の下」(細見綾子)           

 一気に心の緊張が解け、無心にご飯をほおばりおかずを口に入れる。

 至福の時を過ごして、「さぁ、がんばるか」と元気が回復するのである。