羽田空港にお出迎え
2月25日、ご近所の庭にある寒緋桜(緋寒桜)が満開だった。染井吉野などに先駆けて咲くので、もう春がそこまで来ているんだなと浮き浮きした気分にさせる。本格的な花の季節が待ち遠しい。
「咲き満ちてこぼるゝ花もなかりけり」 (高浜虚子)
満開の桜を詠った句だろう。
寒緋桜としては、次のような句がある。
「うつし世のものとしもなし冬桜」 (鈴木花蓑)
しかし、中七の「ものとしもなし」という言葉の意味がよくわからない。まだまだ勉強が必要。
しばし見とれて、妻を迎えるため羽田空港へ向かった。
羽田空港ビルの屋上にあるスカイデッキは、訪れる人もまばらで落ち着いて時間を過ごすことが出来る。
頻繁に飛行機が着陸してくる。ここにいると大きなはずの機体が小さく見える。
人気アイドルグループの嵐がペイントされた飛行機があった。ファンは乗ってみたくなるだろう。
「飛行機のずしんと降りる枯野かな」 (長谷川櫂)
いよいよ妻が搭乗しているスターフライヤーの着陸だ。甥っ子の結婚式に出席するため九州へ行っていた。
俺の姿が見えるかー。ネットフェンスに近寄った。革のシートでリラックス出来たかー。
お土産を持って元気な姿で帰って来た妻は、帰りの電車の中で120人位の出席者がいて楽しかった結婚披露宴の様子や久しぶりに会った妹家族の元気な姿を私に聞かせてくれた。
結婚式が終っても消防団やら町内会やら近所の人が大勢集まって、朝から夜中まで飲みっぱなしだったって‼
さすが九州熊本。
若い若いとずいぶんモテたらしい。機嫌も上々。頬もほのかに色づいているよう。
彼女は、二十歳で私と結婚した。4人の子どもを育て、私と共に2回の転勤を経験した。ある時私にこう言った。
「私の青春を返して‼」
遠く九州小倉から関東に連れて行ってしまった。両親や妹たちと会うこともままならず、子育ての苦労から家事のことなど近くに相談できる人もいない中で、明るく連れ添ってくれた。
しかし、妻は両親の死に目に2回とも会えなかった。
私には、懺悔の思いしかない。
遠く関東に嫁いだ君の、年に一度のリフレッシュ。