原宿駅から千駄ヶ谷へ

 「波を追う波いそがしき二月かな」 久保田万太郎
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 2月に入ると、なんとなくあわただしい気分になる。
 原宿駅を出て地下鉄「明治神宮前」駅の方を見ると、若い女の子たちの行列が出来ていて何を待っているのだろうと気にかかる。
 よくわからないまま、竹下通り方面に向かう。緩やかな下り坂になっていて、竹下通りはさらに下へと下がっている。
 明治神宮が高いところにあって、こちら側は低くなっているわけだ。丘から下がってくるように。
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 竹下通りの入り口。10時頃の様子。
 一時間後、帰りに通りがかると、人の流れが川の流れのように奥へ奥へと続いていた。この人たちは、どこに行こうとしているのだろうか。一度ここに吸い込まれたら、もう戻って来られないような感じだ。
 竹下通りを横目にさらに進むと、また行列が出来ていて、一つはタピオカを飲ませるお店だ。もう一つの別の列があったが、これはわからなかった。どちらも若い女性ばかりだ。人の流れ、世の中の流れがわからない。
 今日原宿に来た理由は、昨年私の母の介護のためパートを辞めた妻がこのたび新しい勤め先を見つけたのだが、2月5日から始まるその会社の研修場所を事前に確認するためだった。
 何しろ妻は方向音痴なのである。後ろから付いて行くと、地図を片手に持っていてもとんでもない方向に歩いて行こうとするのである。どうしてだろう。
 まず地図の持ち方が違う。道に合わせて地図の方も向きを変えればわかりやすいのだが、地図を持つ手はそのまま固まっている。
 それから住所の確認である。東京は区画が比較的はっきりしているので、ビルの壁や電柱などに出ている住所表示を確認しながら進むと近づいているか、離れているかわかる。
 最後に、特徴のある目的物をしっかり覚えておくことである。迷ってもそこに戻って冷静になれば、解決するはずである。
 結局、まあ何とか目的地を確認して、また同じ道を引き返すことにしたのだが、私はこの近くにあるはずの将棋会館に行こうと、道を覚えようとしている妻を引っ張りながら行くことにした。
 緩やかな坂道を下り、また上って行くと鳩森八幡神社(はとのもりはちまんじんじゃ)がある。
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東京都渋谷区千駄ヶ谷1-1-24 
 境内には、大山康晴15世名人が奉納した将棋堂。「王手守」(あるいは王手勝守)というお守りなどがあり将棋にかかわる縁起物もおいてある。
 勝負強さにあやかろうと、受験のお守りとして買い求める人もいるそうである。
 面白いところでは、小説家の村上春樹氏が以前近くでジャズ喫茶をやっていたという縁で、ノーベル文学賞の時期は境内で発表を見守るのだそうだ。
 さて、目指す将棋会館はこの神社の南側に道路をはさんで建っている。
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 会館の扉を開けると、大山康晴名人の陶板がお出迎え。
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 一階には売店があり、将棋盤や80万円くらいする駒がある。写真では、数万円のものと違いがあまりわからないが、実物はやはり駒の持つ迫力が格段に違う。魂がすでにこもっているようだ。
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 廉価版の完全木製版デラックス将棋(6,200円税抜で巻菱湖(まきのりょうこ)製の駒と折り畳み将棋盤がセット)もあり、欲しいなあという気持ちがうごめいて来るのだが、グッとこらえ…
 2階以上は対局室になっていて、有料で利用できる。※一般は1000円から。
 何組か対局する姿が、会館の外から眺められた。
 若い女性が気軽に立ち寄られる雰囲気ではなかったが、入場制限をする日もあるらしい。藤井七段の活躍もあり将棋人気は上々なのだろう。
 時代は変わってきているのだ。
 私も時間がたっぷりできるようになったら、通って昇級昇段していきたい‼⁇
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