久しぶりの川崎大師参拝

 「何一つ不足なき身の初大師」(平成8年 鈴木真砂女

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 川崎大師へ行くには、京急川崎駅から大師線に乗り換える。川崎駅を出て鈴木町駅港町駅と停車して次が川崎大師駅だ。

 ちなみに川崎大師駅を出ると終点小島新田駅までの間に、二駅あるので合計7駅の短い路線である。

 今まで機会がなかったが仕事の現場があるので、30年振りくらいに川崎大師を訪ねてみた。

 途中の鈴木町駅のすぐそばには、味の素の大きな工場がある。味の素の町である。

 「笹鳴(ささなき)や壬生菜(みぶな)にふりし味の素」(昭和45年真砂女) 

 真砂女さんは、この句を得意先の味の素の人に見せたら大変喜ばれたという。

 昔は、筆者の家の食卓にも必ず置いてあった。今は冷蔵庫の奥に行ってしまったが、たまにぬか漬けの漬かりが悪いと味の素をパッと振ってから食べる。

 次の港町(みなとちょう)駅は、かつて日本コロンビアがあった。その跡地が今はマンションになっており、近所には川崎競馬場がある。

 港町駅の下りホームに、「港町十三番地」の楽譜が描かれていた。

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 電車が近づくと、美空ひばりの「港町十三番地」のメロディが流れる。昭和32年発売の歌だ。

 ※「港町十三番地」は美空ひばりの歌で出荷枚数歴代第7位(120万枚)。

 港町というが、近くに港はない。港町という地名とかつてコロンビアがあったというご縁で結びついたのだろう。

 「長い旅路の 航海終えて 船が港に 泊まる夜 

  海の苦労を グラスの酒に みんな忘れる マドロス酒場

  ああ港町 十三番地」 (石本美由紀作詞、上原げんと作曲)

 マドロス酒場はあるだろうか。

 そして、いよいよ次が川崎大師駅。久しぶりなので、初めて訪れる土地のようだ。 

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 川崎大師前の参道。飴屋さんや店員さんが、盛んに声をかけてくるところだ。この先、山門前に「住吉」がある。久寿餅で有名。おそらく社長さんのセールスがうまいのだろう。一番売れているのではないか。JR川崎駅にも久寿餅を置いている。 

 「葛餅の三角といふよきかたち」片山由美子

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 真言宗系のお寺平間寺不動明王様へのご祈祷で有名。仕事現場の人がいつも祈祷を受けに行っていると話していた。

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 地元の人に聞くと、混みあうのは年末年始位で週末でもそんなに人混みは多くないという。

 ところでその久寿餅だが、関東では葛粉ではなく小麦粉を発酵させて作るのだとか。いわゆる葛餅は関西が主流らしい。

 「くず餅のきな粉しめりし大暑かな」(昭和38年鈴木真砂女    

    ※亀戸天神にある船橋屋も有名だ。この句は船橋屋のくず餅かも。

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 久寿餅を製造しているところは3軒あるそうで、これは「元祖住吉屋総本店」の久寿餅。由緒正しそうな古い建物で売られている。

 「住吉」がおいしいのか、「住吉屋総本店」がうまいのか、もう一軒のくず餅屋さんが本命なのかわからないが、暑さでくたびれた体に優しい食べ物であることに間違いなさそう。       

 黒蜜ときな粉をかけたくず餅は、今年の夏、体に沁みた。

 「葛切りの喉よろこばす花疲れ」(平成7年以降鈴木真砂女

 この葛切りという食べ物に、来年の夏は出会ってみたい。

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