新潟古町界隈散策(2)
日曜日の朝7時半頃。それほど早朝でもない時間。気温は10℃位。人口80万人都市の新潟市内、あまり歩いている人は見かけない。
アーケード街の古町商店街を抜けると新川小路に入る。アーケードではないが、歩道上に軒がしっかり伸びているのは冬の雪対策だろう。途中には、「古町糀製造所」や革製品専門店など面白そうなお店が多いが、早朝のためか開いている店はセブンイレブンだけだ。
人けのない商店街を歩いていると、小さな神社やお寺が多いことに気づく。古い木造の家もちらほらあり、昭和と平成が入り混じっている様子。
新川小路の先に、白山神社の参道があり神主さんと思しき方が「出勤」されるところだった。
添木に頑丈に支えられた松の木。雪の重みにも十分耐えられそうだ。
信心深い方が参拝に訪れている。すれ違えば「おはようございます。」というあいさつがかかる。こんなささやかなことに繰り返された1300年の歴史の重みを感じる。
境内には「白山さまは歯の神様、医療安全の神様」という高札。
池もあり、白山神社は公園として市民に親しまれている。市街中心部にこのように緑豊かな広い公園があり、うらやましく感じた。
さて、帰り道。古町アーケード商店街(マンガ通り)の中に水島新司の漫画に出てくる主人公たち7人が、ブロンズ像になっている。
張り巡らされた電線が、仏様が投げる網のように見えた。
「南無大師遍照金剛」
最後に、マリンピア日本海がある寄居浜に行く。穏やかに海が広がる。遠くに半島らしきものが望め、心がパッと開ける眺めだ。海はいいなあ。
砂浜ではなかったが、きれいに透き通り静かに寄せる波。
「故郷の浜の白砂若き日を共に踏みけむ友をしぞおもふ」
遠き若き日の思い出が沸き起こる。
湯沢は、20代の前半に初めてスキーをやったところだった。長岡は、大学同期のSの出身地だ。十日町は、かつてこの町に来て仕事しないかと誘われた町。いろいろあったじゃないか。道はつながらなかったけど。
はやばやと雪をいただく山々を遠くに望みながら、車窓には稲刈りを終え冬を待つ田んぼがはるかに広がる。
郷愁を感じさせる新潟。しかしこの数十年の間、北朝鮮による拉致があり、日本人が問答無用に家族から引き離され、人権も何もない独裁国家にさらわれた。自然災害もあった。地震があり、風水害に何度も見舞われている。
何事もなかったかのような風景の背後には、人々の痛ましい過去や歴史が潜んでいるところでもあるのだ。それを忘れないようにしよう。
私にも人生の分岐点はいろいろ転がっていた。そして今がある。
また、行きたいな新潟。
※私の妻も気に入ったようです。
面白いものがまだまだたくさん転がっている新潟古町散策。今回はこれで終わり。あらためて訪ねてみたい土地だった。